アンケート収集のためにLimeSurveyをレンタルサーバーにインストールして活用する方法

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この記事では、レンタルサーバーにLimeSurveyをインストールしてアンケートを手軽に収集する方法を解説します。

対象の読者は、レンタルサーバーの活用やシステム運用に興味があり、LimeSurveyのようなフリーのアンケート収集やフォーム作成ツールを探している方です。

この記事を読むことで、LimeSurveyの基本的なインストール手順からアンケート作成、そして運用方法までを理解できます。

アンケートやフォームを活用する理由

アンケートやフォームは、情報収集や意見収集のために多くのシーンで利用することができます。

たとえば、以下の場合にアンケートを活用することができます。

  • 従業員満足度調査
    • 職場環境の改善に役立つフィードバックを集めるために、従業員に定期的なアンケートを実施。
  • 新製品やサービスの市場調査
    • 製品の機能やデザインに対する意見を収集し、ターゲット市場のニーズに合った製品開発を支援。
  • 顧客体験の向上
    • 購入後のフォローアップアンケートを行い、顧客の体験を把握し、サービス改善に繋げる。

アンケートのメリット

アンケートを利用することで、アクセス解析やヒートマップでは分かりにくい、ユーザーの「本音」を把握することができます。ユーザーから直接回答を得ることは、実際のニーズや考えを深く理解するために非常に効果的です。

また、アンケートは多くの人々から一度にフィードバックを得られる手段であり、回答形式や質問内容を自由に設計することで、充実した情報を効率的に収集することが可能です。特に、複雑な質問分岐や回答オプションを柔軟に設定できるツールを使えば、より具体的で有益な情報を引き出せます。

これにより、製品やサービスの改善に必要なインサイトを得たり、ターゲット層の満足度を向上させたりすることができます。

LimeSurveyとは?

LimeSurveyは、フリーで利用できるアンケート収集ツールであり、フォーム作成に便利なオープンソースのソフトウェアです。

使用できる物として、セットアップ済みの物が利用できるクラウドタイプ(Cloud)と、サーバーインストールタイプ(CE)が存在しており、本記事ではサーバーインストールタイプを解説していきます。

https://www.limesurvey.org/manual/LimeSurvey_Manual/ja

特徴としては、自由にカスタマイズできること、そしてサーバーにインストールすることでプライバシーに配慮したデータ収集が可能な点が挙げられます。

なぜレンタルサーバーにインストールするのか?

レンタルサーバーを利用することで、コストを抑えながら自分専用のアンケートツールを手軽に運用することができます。専用サーバーのような大規模な設備を用意する必要がなく、必要な機能を効率的に利用できる点が大きなメリットです。

LimeSurveyの実績

LimeSurveyは、オープンソースの高機能なWebアンケートシステムとして、世界中の自治体や企業で広く利用されています。 日本国内においても、LimeSurveyの導入事例が報告されています。

例えば、有限会社ディアイピィさんでは、LimeSurveyのカスタマイズ開発を通じて、某省庁向けに専用の質問タイプの追加やメール通知機能のカスタマイズを実施しています。また、同社は某コンサルティング会社向けに、外部システムと連携したアンケート実施のためのAPI開発や、クラウド環境への移設を行っています。

https://sios.jp/products/it/oss-limesurvey.html

これらの事例から、LimeSurveyは日本国内の政府機関や企業において、アンケート調査やデータ収集のツールとして活用されていることがわかります。

LimeSurveyの特徴

LimeSurveyには以下のような特徴があります。

  1. フリーで使えること
    LimeSurveyは無料で利用可能で、アンケートを作成するために追加の費用がかかりません。このため、小規模なプロジェクトや予算が限られている場合でも導入しやすいツールです。
  2. アンケート作成や結果分析の機能が充実していること
    LimeSurveyには豊富な質問形式や回答収集機能があり、簡単にアンケートを作成できます。また、結果をリアルタイムで確認したり、データをCSVやExcelにエクスポートして分析に活用することも可能です。
  3. カスタマイズ可能で、自分の目的に合ったアンケートが簡単に作れること
    LimeSurveyはカスタマイズ性が高く、自社ブランドに合わせたデザインのアンケートを作成したり、質問の条件分岐を設定したりできます。これにより、収集したい情報に最適化されたアンケートを手軽に作成することができます。

使用言語はPHPでYiiフレームワークを使用しているため、Apacheで動きMySQLを使用することができます。拡張性もあり、Twigテンプレートでのデザイン編集を行うことができます。

Googleフォームとの違い

LimeSurveyとGoogleフォームの大きな違いは、デザインの柔軟性と質問の条件分岐設定の自由度にあります。

LimeSurveyでは、アンケートのデザインを自社ブランドに合わせてカスタマイズでき、より一貫したイメージを伝えることが可能です。また、質問の条件分岐や回答の選択肢も柔軟に設定できるため、ターゲットに合わせた詳細なアンケート設計が可能です。

これにより、より深くて有益な情報を収集できる点がLimeSurveyの強みです。

LimeSurveyのインストール手順

LimeSurveyをインストールするためには、まず使用するサーバーの条件を確認する必要があります。

LimeSurveyを動かすための必要要件

LimeSurveyを動かすには、以下の必要要件を満たしていることが必要です。

  • PHP:バージョン7.2以上が必要です。
  • データベース:MySQL 5.5以上、またはMariaDBの対応が必要です。

これらの対応状況を確認し、事前にドメインの準備とSSL化を行うことが推奨されます。また、これらの要件は一般的なレンタルサーバーで提供されている物となっています。

インストール手順の解説

まず、LimeSurveyの公式サイトからソフトウェアをダウンロードし、サーバーにURLアクセスできる場所にアップロードします。

アップロードが完了したら、次にデータベースをあらかじめ作成しておきます。この際、データベース名やユーザー情報、パスワードなどをメモする必要があります。

その後、LimeSurveyのインストールウィザードを使用してインストールを進めます。このウィザードは簡単な手順でインストールをガイドしてくれるため、初心者でもスムーズに進めることが可能です。

ファイルを保存したディレクトリー名を「limesurvey」としたとすると「 http://www.example.com/limesurvey/admin 」のような URL になります。

すべての手順が完了すると、LimeSurveyを利用できる環境が整います。

詳細については日本語化されたドキュメントがあるため、こちらをご確認ください。

https://www.limesurvey.org/manual/Installation_-_LimeSurvey_CE/ja

トラブルシューティング

LimeSurveyのインストール中や利用中には、いくつかの一般的な問題が発生することがあります。ここでは、よくあるエラーとその対処方法、そしてインストール時に注意すべきポイントについて解説します。

よくあるエラーとその対処方法

LimeSurveyのインストール中には、いくつかのエラーが発生する可能性があります。

たとえば、PHPバージョンの不一致やデータベース接続の失敗などです。これらのエラーが発生した場合、まずはサーバーの設定を確認し、必要な要件(PHP 7.2以上、MySQL 5.5以上など)を満たしているか確認してください。また、エラーメッセージを元に公式ドキュメントを参照することで、問題の解決方法を見つけることができます。

ファイルパーミッションの設定

インストール時には、特定のフォルダやファイルに適切なパーミッションを設定することが重要です。不適切なパーミッション設定は、セキュリティリスクを引き起こしたり、正常にアンケートが動作しない原因となることがあります。

特に Linux のような Unix 系システムにおいて、いくつかのディレクトリに適切なアクセス権を設定する必要があります。

  • “/limesurvey/tmp” ディレクトリ -> 「読み取りと書き込み」
    • このディレクトリはインポートやアップロードのために使用されるため、Web サーバーの実行ユーザーがファイルを作成・変更できる「読み取りと書き込み」権限が必要です。
  • “/limesurvey/upload” ディレクトリ -> 「読み取りと書き込み」
    • 画像やメディアのアップロードに使用されるため、Web サーバーの実行ユーザーに「読み取りと書き込み」権限を設定する必要があります。
  • “/limesurvey/application/config” ディレクトリ -> 「読み取りと書き込み」
    • 設定ファイルの書き換えが必要になる場合があるため、このディレクトリにも「読み取りと書き込み」権限が必要です。
  • その他のディレクトリ -> 「読み取りのみ」
    • その他のディレクトリについては、基本的に「読み取りのみ」の権限で問題ありません。特に /limesurvey/admin ディレクトリ内のファイルには「読み取りのみ」の権限を設定することを推奨します。

推奨される設定として、設定ファイルには読み取り専用のパーミッションを設定し、アップロードフォルダには書き込み権限を付与することが挙げられます。これにより、安全かつスムーズにLimeSurveyを利用できるようになります。

初めてのアンケートを作成する

初期設定が完了したら、LimeSurveyの管理画面にログインしてアンケートを作成します。

管理画面にログインするとこちらの画像の画面が表示されます。

ポイントとして、管理画面ではアンケートをグループにまとめることができるので、そもそものアンケートのデフォルトの設定やグループに含まれた場合のデフォルト、アンケート管理ができるユーザー管理など、初期段階で必要な設定を行うことができます。

ログイン後に表示されるダッシュボードから、アンケートの作成や回答の管理、設定のカスタマイズなどを直感的に操作できるようになっています。

アンケートの作成と公開

アンケートの基本項目を作成する流れ

LimeSurveyの管理画面にアクセスし、新しいアンケートを作成します。

まずは、アンケートのタイトルを決めて作成をします。

その後に説明文、回答の締め切り日時などの基本情報を設定します。これにより、アンケートの目的や回答期限を明確にし、回答者に分かりやすいアンケートを提供することができます。

複数種類の質問を組み合わせる方法

LimeSurveyでは、テキスト入力、単一の選択肢、複数選択のチェックボックス、5段階での評価スケールなど、さまざまな形式の質問を組み合わせてアンケートを作成することができます。

これにより、収集したい情報に応じて最適な質問形式を選ぶことが可能となります。

例えば、選択肢を使用して特定のオプションを選んでもらったり、テキストボックスで自由な回答を求めたり、画像での選択、ドラッグ&ドロップでの順位付けなどを設定することができます。

詳細については公式ドキュメントで確認することができます。

https://www.limesurvey.org/manual/Question_types/ja

アンケートの公開設定とリンクの取得方法

アンケートが完成したら、公開設定を行います。

公開設定では、アンケートを公開する方法(公開URLの設定、パスワードの有無など)を決定します。

また、アンケートを指定したメールアドレスの回答者に配布するためのアクセストークンを振り分けることもできます。このトークン付きのリンクを共有することで、ターゲットとする回答者に対して簡単にアンケートを配布し、招待メールや催促メールなど、設定することが可能となります。

データ収集と分析の活用法

LimeSurveyを利用することで、アンケート結果をリアルタイムで確認することができます。

管理画面にアクセスすると、回答が集まるたびに結果が更新され、集計結果を即座に確認することが可能です。これにより、回答の傾向をすぐに把握でき、迅速な意思決定が可能になります。

また、収集したデータはグラフや表などで視覚的に確認できるため、理解しやすく、分析にも役立ちます。

結果をエクスポートする

LimeSurveyでは、収集したアンケート結果をCSVやExcelなどの形式でエクスポートすることができます。

これにより、必要に応じて外部の分析ツールに取り込んで詳細な解析を行ったり、社内で共有したりすることが容易になります。

さらに、LimeSurveyの管理画面内で簡単なグラフを作成し、視覚化することで、回答の傾向を一目で把握することが可能です。これにより、データを活用して具体的なアクションにつなげやすくなります。

LimeSurveyを利用するメリットとレンタルサーバー活用の利点

1. コストパフォーマンスの高さ

LimeSurveyは無料で利用できるため、企業でも個人でも低コストでアンケートを収集することが可能です。

特に、小規模プロジェクトやスタートアップ企業にとって、費用を抑えながら質の高いアンケート機能を利用できる点は大きなメリットです。

2. レンタルサーバーに設置できる

LimeSurveyをレンタルサーバーに設置することで、専用サーバーを用意するよりも管理が簡単で手軽に利用することができます。

専用サーバーを使う場合に比べて初期費用や維持費が抑えられるだけでなく、レンタルサーバーでの運用により必要なメンテナンス作業もアプリケーションのみになり、サーバー内の他のソフトウェアのメンテナンスが減少します。

さらに、自分でサーバーを管理することでデータの安全性を確保できる点も大きな利点です。アンケートのデータを外部のサーバーに保存するのではなく、自社のサーバーに保存することで、情報漏洩のリスクを減らし、プライバシー保護を強化することが可能です。

まとめ

LimeSurveyを使用することで、アンケート収集が非常に手軽に行えることと、自分専用の環境で管理できる利便性を強調します。特に、LimeSurveyはオープンソースでありながら高度なカスタマイズが可能で、データを自社で管理することでプライバシー保護が強化される点が大きなメリットです。

また、レンタルサーバーを活用することで、LimeSurvey以外にも他のオープンソースツールやシステムを導入しやすくなり、さらなる業務効率化やデータ活用の幅を広げる可能性があります。

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この記事について質問や不明点がある場合は、お気軽にコメント欄やメールでご連絡ください。

特に、LimeSurveyのインストールや設定に関する疑問があれば、具体的な状況を共有していただければサポートいたします。また、この記事が役立ったと感じた場合は、フィードバックをいただけると嬉しいです。

皆様からのご意見をもとに、より分かりやすい記事を提供していきたいと考えています。

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